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どこに米国子会社を設立すべきか?

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こんにちは。ジョン佐々木です。

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今日は米国子会社のテーマに戻りたいと思います。少し前に、米国と日本の設立プロセスの違いについて記事を書きました。

今回は、日本法人が米国子会社をどこに設立すべきかを議論しましょう。覚えておいでかも知れませんが、米国では会社は州ごとに規制されています。したがって、どの州で子会社を設立するか(具体的には、どの州で定款をファイルするか)を決める必要があります。そして、設立した子会社は、以後その州の法令に従うことになります。

それでは、どのように設立する州を決めますか。

| 1. 選択基準は何か?

2つの主要な選択基準があります。それは、(1)子会社の目的、及び(2)子会社の物理的な活動地域です。

(1)の目的に関しては、大きく2とおりの回答、すなわち(i)将来にわたって子会社として運営したい、又は(ii)最終的にはIPOを目指して、独立の企業として運営したい、という場合が考えられます。

(2)の活動地域については、どこにオフィスを置きたいか、どこで従業員を雇うか、重要な顧客はどこにいるか、といった点を検討することになります。

米国法人を将来にわたって日本の親会社の子会社として運営することが目的であれば、活動地域が設立場所を決める最大の要素になると思われます。一方、独立した法人として運営したいのであれば、米国法人としてIPOしやすい州も検討すべきだと思います。

多分、大部分の方は、米国法人を将来にわたって子会社として運営する方を選ばれると思います。どこでビジネスを行いますか?もしあなたが、最も良い人を雇用できるし潜在顧客もいるとの理由でシリコンバレーに本店を置こうと考えているなら、おそらくカリフォルニア州に子会社を設立すべきでしょう。

| 2. なぜシリコンバレーの企業の多くがデラウェアで設立しているか?

あなたがシリコンバレーの起業家なら、日本の親会社の米国子会社として運営するのが目的ではないでしょう。VCからファイナンスを受けて、最終的にIPOを目指したいはずです。その場合、デラウェア州で設立するのが理にかなっています。なぜか? 証券会社や弁護士がデラウェア州の会社を好むことが主な理由です。どうして好まれるのか? 主に二つの理由からです。

(1) デラウェア州の会社法はよくできています。つまり他州よりもデラウェア州の法律は法的な不確定要素が少ないのです。これは、経営陣と株主の間での紛争が生じにくいことにもつながり、会社が公開していたり多数の株主がいたりする場合は特に、証券会社や弁護士には喜ばしいことです。

(2)  一般的に言って、デラウェア州は(強い株主側の権利を定める州とは反対に)比較的強い経営側の権利を定めています。この点も、多数の株主がいる公開会社には重要です。非常に多くの事項について株主の同意が必要だったり、取締役会の決定が常に株主からの異議にさらされたりするようでは、公開会社として機能することに支障を生じてしまいます。

そのため、多くのシリコンバレーのベンチャー企業は、デラウェア州で設立されます。

| 3. では私も同じくデラウェア州を選択すべき?

デラウェア州で米国法人を設立すれば、上に述べたとおり、デラウェア州の会社法が適用されます。ですが、カリフォルニア州に米国法人の本店をおいたら、カリフォルニア州法も適用されることになります。そして、両方の州の州税を負担することになります。

外部投資家からのファイナンスを受け、公開することが目的なら、2つの州の税金を支払い、2つの州の法律に従う価値があるかも知れませんが、そうでないのであれば、そのような負担を被る理由はないと思われます。

もし将来方針を変更して、米国法人を独立の法人としていくことにした場合でも、IPOの前にカリフォルニア州法人からデラウェア州法人に転換することが可能です。簡単な手続ではないものの、実施可能であり、それほど珍しいことでもありません。同様の手続をとったシリコンバレーの企業も実際にあります。

| 4. ネバダ州はどうか?

ネバダ州や他のいくつかの州は州税がないことで有名です。ですが、ネバダ州で子会社を設立し、本店をカリフォルニアに置けば、両州の法令に従わなければなりません。またネバダ州で税金を払わないで済むとしても、カリフォルニア州では支払わなければなりません。

これに対して、米国に物理的な拠点を設ける必要がないような場合には、ネバダ州(や他の州税のない州)を選ぶのが理にかなっています。

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以上から、大部分の方にとっては、物理的に本店を置く州で子会社を設立するのが良いことになります。

ご質問があれば、jsasaki@jsvlaw.comまでお気軽にご連絡下さい。

皆さんよいお年を!

【参考和文作成:弁護士 林 賢治】

原本の記事(英語)(除):JSV外国法事務弁護士事務所
和文の記事:AZX法律事務所 AZXのブログの記事: http://www.azx.co.jp/blog/?p=1409